カリキュラム
化学的な視点からグリーンイノベーションに代表される環境問題の解決に寄与し、環境問題に貢献できる人材を育成するため、環境化学のほか、分析化学、無機化学、物理化学、有機化学などの化学の基礎を十分に学修し、環境問題に取り組むための基礎能力を身につけます。さらに、地球環境と物質との関係について専門的により深く学ぶため、グリーンイノベーションを基盤とし、3つの領域から地球規模の環境問題の解決につながるテーマに関する教育研究を行います。 また、基礎を大切にしながらも、化学科より「社会に役立つテクノロジー」を志向した教育を推進します。週3日間の学生実験など、実験を重視したカリキュラムを編成したほか、環境学や地学について学べる科目も開講予定です。
高機能物質を創出する:物質創成系
地球環境にやさしく持続可能な社会を実現するため、環境にやさしい合成法の開発や環境に優しい機能性材料を創成するための知識や技術を身につけます。
機能を探る:機能探索系
環境・エネルギーの観点から物質に潜在する機能や物質変化のメカニズムを明らかにするため、光・電子機能を中心とする物質の多様な性質を物理化学的手法によって探索するための知識や技術を身につけます。
地球の現状を調査する:環境分析・地球化学系
地球・環境を化学の立場から捉え地球環境問題の解決に貢献するため、地球化学を基礎として地球の仕組みを理解するとともに、環境を分析・評価するための知識や技術を身につけます。
特徴的な授業
環境応用化学実験
3年次に週3回行い、基本的な化学実験から環境調査法まで、さまざまな実験を通して、基礎知識・思考力・実験センスを徹底的に習得します。
高分子化学(森崎教授)
私たちの身の回りには高分子材料(プラスチックなど)があふれています。高分子は小さな分子が無数に繋がった大きな分子です。 同じ分子式で表される高分子でも、置換基の向きや枝分かれの度合いによって全く別物の材料になります。 また、高分子の一部を変換するだけで、その材料特性は劇的に変化します。本授業では身近にある高分子材料を題材として、その合成法を中心に構造と特性の違いを含めて講述します。
応用物理化学(田和教授)
高分子化学の講義で得られた知識をもとに、高分子物性について解説します。繰り返し単位構造が数百、数千、数万とつながる高分子の、 低分子化合物とは違った取り扱いと物性を理解することを目指します。溶媒に溶けている分子はどういう状態なのか、といった高分子1本鎖の取り扱いと物性を解説した後、 高分子固体の構造について計測方法・解析方法を紹介し、高分子特有の粘弾性という物性について講述します。また、汎用高分子の物性についても解説します。
地球環境化学(谷水教授)
地球表層における水の循環を軸として、化学的視点からさまざまな元素の循環とそれを支配する要因について解説します。 大気中での各種気体の除去機構やオゾンの成層圏と対流圏での役割と大気汚染の問題を、ラジカル反応などの反応機構から概説します。 河川や海洋中での元素ごとの挙動の違いの要因や溶存性-沈殿性の性質を、溶解度積や活量係数、平衡定数から導出します。 平衡定数とギブスの自由エネルギーそしてネルンストの式から、各元素の酸化還元状態変化における化学種の安定性を解説し、地球表層での元素の挙動の理解を目指します。